【ジョン・ラター John Rutter】を調べてみました。

来年の新宿混声合唱団 第48回定期演奏会は、
平成27年5月24日(日)に、
新宿文化センター大ホールで行われます。

4ステージあるうちのひとつは、「ジョン・ラター」を取り上げ、
ラター編曲の黒人霊歌集 「Feel The Spirit」より
4曲を演奏します。

John_Rutter

↑ジョン・ラター氏

1.Sometime I feel like a motherless child
2.Joshua fit the battle of Jericho
3.Deep river
4.I got a robe

上記4曲で、ソリストは、
メゾソプラノの郡愛子(こおり あいこ)さんに
お願いしています。

郡愛子img_2621

↑郡愛子さん

そこで、
ジョン・ラターの生い立ちを調べてみました。
ジョン・ラター は、1945年9月24日、
イギリス・ケンブリッジで生まれました。
今年69歳になられます。

ケンブリッジは、
ハリーポッターでお馴染み、
『ホグワーツ魔法学校』行きの電車が出る
ロンドンのキングス・クロス駅から、
約50分のところにあるイギリス東部の町です。

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↑ハリーポッターに出てくるキングス・クロス駅
秘密の9と3/4番線

ケンブリッジは、ケンブリッジシャーの州都で、
その昔、ローマ人が要塞を構えていたと言われています。

ケンブリッジ場所

↑ケンブリッジ場所

中世にはすでに運行可能な河川(ケム川)があり、
ケンブリッジには重工業製品をはじめとする
様々な商品が運ばれ、町は栄えたという。

美しいケンブリッジの街並み 美しいケンブリッジの街並みとケム川

↑美しいケンブリッジの街並み

13世紀になり、
オックスフォードで起きた暴動を逃れ、
ケンブリッジへやってきた学生たちが大学を組織します。

これが現在のケンブリッジ大学の始まりで、
たくさんの貴族や王室の援助を受け、
ケンブリッジの町は、大学とともに発展してきたそうです。

kingsfrommary

↑ケンブリッジ大学

このような歴史あるケンブリッジ大学は、
今年で創立805周年を迎えています。

↑こんな綺麗な大学で学んでみたいですね。

さて、前置きが長くなりましたが、
ジョン・ラター氏はこのような街に生まれましたが、
父は科学者で、音楽的な家庭ではなかったのです。

ジョン・ラター氏の運命を左右したのが、
前居住者が置いていったアップライト・ピアノでした。

こういう環境で幼少期から自然と音楽に親しんで育ったのです。

そしてハイゲイト・スクールで最初の音楽教育を受けた後、
ケンブリッジ大学クレア・カレッジへ進学して音楽を専攻し、
在学中から既成のクリスマス・キャロルを編曲するとともに、
自ら作詞・作曲した新作キャロルも発表している。

その後、サザンプトンで短期間教鞭を執った後、
僅か30才(1975年)で同カレッジの音楽科主任を務めました。

そして、
1979年までその地位を務めたが、
音楽活動へ専念するため同校を離れ、
1981年には教え子を中心としたプロの合唱団
ケンブリッジ・シンガーズ(The Cambridge Singers)を結成しました。

1984年には専用レーベルのコレギウム・レコード
(Collegium Records)を設立、
自作を含めた合唱曲を多数録音しています。

管弦楽や室内楽の作品もあるが、
宗教音楽や合唱曲の作曲家として知られ、
ヨーロッパ、スカンジナビア、北米などで
客演指揮や講演をする傍ら、
プリンストンのウェストミンスター合唱大学
(Westminster Choir College)名誉研究員、
さらに1988年には教会音楽家連盟
(Guild of Church Musicians)の研究員に就任するなど、
高い評価を受けています。

ジョン・ラターは、
20世紀後半の作曲家としては異例なほど保守的で、
前衛的・実験的な作品は殆ど見られない。

得意とするのは、ポップで歌うのが楽しい旋律と
すっきりとした和音が曲の基調をなして、
随所に変拍子やジャズのテイストを混ぜることで
現代性を加えている。

また、「グレゴリオ聖歌(注)」を引用するところや、
民謡を積極的に取り入れることもあり
音楽を専門としない人達にも親しみ易さがある。

(注)ローマ・カトリック教会で用いられる、
単旋律、無伴奏の宗教音楽。

ジョン・ラターは、
印象的でポップな旋律な作品によって、特にアメリカでの人気が高く
各国のアマチュア合唱団の間では絶大な人気を誇っています。

しかし、
キリスト教に関連した合唱曲が大半なのにも関わらず、
本国イギリスのイギリス国教会およびキリスト教国
およびプロの合唱団からは、合唱曲のポップ版、
或いは、
クリスチャン・ロックの合唱版と同じレベルでみられ、
意外にも重要な作品とは見做されていないという。

日本においては、
1980年代後半に作品が歌われ始め、
1990年代にケンブリッジ・シンガーズのCDが
多数輸入されるようになると広く演奏されるようになった。

新宿混声合唱団が来年の定期演奏会で演奏する、
黒人霊歌集 「Feel The Spirit」は、
2001年の発表された作品で、
ジョン・ラター(指揮)
BBCコンサート・オーケストラ演奏で、
メラニー・マーシャル(メゾ・ソプラノ)
ウェイン・マーシャル(ピアノ)
マルコム・クリーゼ(コントラバス)
ケンブリッジ・シンガーズが演奏している作品です。

CD

↑「Feel The Spirit」のCDジャケット

この中から4曲定期演奏会で演奏しますが、
聴いたことがあるメロディーもきっとあると思います。
是非、演奏会にいらして頂き、
ジョン・ラターの作品をお楽しみいただければ幸いです。

現在、このジョン・ラターの曲の練習が真っ盛りです。

是非一度お気軽に見学にいらしていただければと思います。

団員一同、心より見学をお待ちしております。

では、また!

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コメント

  1. 栗の樹 より:

    おいちゃん、すっごい内容の濃いぃ~メッセージ有難うございます。(ついに三回目のコメントになりました。)

    黒人霊歌って、奥が深いというか、それにはあの悲惨な黒人奴隷が大きく関わっているという先生のお話もありましたが、去年観た映画「それでも夜は明ける12 Years A Slave」のムチで打たれるシーンで涙が止まらなかったのを思い出します。

    皆さんご存知とは思いますがネットで調べてみました。黒人霊歌の特徴は、躍動感をもたらすシンコペーション、アフリカ伝来のものといわれる「コール・アンド・リスポンス」の形態、ボディアクション、即興性、ブルーノート(哀感な音調を出すために半音とまでいかず三分の一音と微妙な程度、音を下げて歌うこと)等。theは「de(ダ)」、thatは「dat(ダット)」と発音するような独特な黒人なまりも黒人霊歌の大きな特徴とのことです。thやvの音が発音できない(the→de)、促音が加わる(heaven→hebben)、単語の一部が省略して発音される(moming-momin’)などである。また、歌詞の文法はかなりいいかげんである。これらの原因は、黒人が正式な教育を受けていないために、正確な発音や文法を知らなかったため、また、即興で歌うことを好んだ黒人たちの、リズム感にまかせて歌いあげたためである。
     黒人霊歌の根底に流れるものは、自由への憧憬である。黒人霊歌には、「天国」を意味する単語が多く出てくるが、彼らにとって天国への道とは、「自由と救い」を意味する。例えば、『steal Away』中、‘steal away to Jesus’という歌詞を、‘steal away to freedom’の意にとって歌ったわけだ。また、『Joshua fit de Battle ob Jericho』には特に天国を意味する単語は出てこないが、この歌は「黒人の自由を求める戦い」という意をこめて歌われた。
     黒人霊歌は、そういった意をこめられているにもかかわらず、黒人奴隷の主人である白人の前でも歌われた。白人たちには、聖書を元にした歌を歌っているように見せかけて、その実、double meaningとして、自由への逃亡の意をこめて歌った、とのことです。

    とは言え、ほとんどが聴いたことがある素晴らしい曲。何とか上手く歌えるようになれればと願うばかり、です。

  2. おいちゃん より:

    栗の樹さん

    すっごい内容の濃いぃ~コメントを頂き
    有難うございます。(笑)

    「それでも夜は明ける12 Years A Slave」って、
    そんなシーンもありましたか。
    黒人霊歌を歌う予習としてご覧になったのですかぁ?(笑)

    そうですねぇ。
    黒人霊歌は、奥が深いですね。

    黒人霊歌の原初的な姿は、無伴奏か、
    楽器があったとしてもオルガン位の伴奏だったそうです。

    賛美歌のようにかしこまらずに、
    馴染みやすいものとして歌われ、
    そこから、ジャズが生まれたのですね。

    なかなか、奥の深い歌ですが、
    聴いていただく人には、
    美しくて馴染みのあるメロディーが出てきて、
    きっと、楽しんで聴いていただけると思います。

    それには、これから練習あるのみですね。
    頑張りましょうね。

  3. フル より:

    おいちゃん、栗の樹さんのコメントを読んで黒人霊歌の理解が深まりました。
    コメントをまとめたら、演奏会のパンフレットに掲載できそうですね!(笑)
    最初は「リズム」「音程」「英語の歌詞」ともにうまくはまらず、三重苦といった感じだった黒人霊歌ですが、日曜日の練習では一通り練習をして、徐々に歌うのが楽しくなってきました。
    栗の樹さんの言う通り、あとは練習あるのみですね。

  4. おいちゃん より:

    フルさん

    コメント有難うございます。
    昨日の練習で、ひとまず、ラターの練習は中断しますが、
    少し曲にも慣れて、歌うのが楽しくなってきましたね。

    もう少し、歌い熟したい気持ちがありますが、
    今年中に、全ステージ(4ステージ)をひと通り練習する予定では仕方がありませんね。
    来週から、バッハのモテットの音取りが始まりますね。
    アカペラでドイツ語を暗譜で歌うのが今から心配です。
    練習あるのみですね。
    頑張りましょう。

  5. 幽民 より:

    こんばんは。幽民です。
    「黒人霊歌」は今やメディア上での差別的表現を嫌い、“Spiritual(s)“と称されることが多くなりましたが、大学の頃から、いや、大学から本格的に合唱を始める以前に、高校のクラス対抗合唱祭で初めて「ジェコの戦い」を聴いて、こんなかっこいい曲があんだか!とびっくりしました。
    なかなかこの手の曲については研究する以前に生理的にまず歌いたくなってしまうタチなので、これからは曲の背景、生い立ちといったことを改めて学んで、“大人のSpiritual”を体現したいですね。