演奏会と曲への思い

こんにちは。幽民です。
5月に入り、いよいよ3年ぶりの定期演奏会の行われる月となりました。
間もなく迫ってきた第53回定期演奏会に向けて、練習と準備も大詰めを迎えています。

毎年1回演奏会を行うことを最大の目的として50年以上活動してきた、新宿混声合唱団。
それがこのコロナ禍のために、2回も演奏会を延期をせざるを得なくなるとは、全く今まで考えられない事態でした。
これ以上止まり続けていては、この合唱団は死んでしまう…だからこそ再び歩き出さなければという思いを抱え続け、漸く昨年の秋から徐々に活動を再開し、どうすれば演奏会ができるようになるかを皆で知恵を出し合い、試行錯誤を重ねつつ現在に至りました。

図らずも、この演奏会で取り上げる各ステージの曲とも、足掛け3年(ラターは2年)のつき合いとなりました。
これらを選曲した当時には全く想定していませんでしたが、この演奏会を開く昨今に至るまでの大きく変化した我々を取り巻く状況とも重なる部分も出て来たなと感じられるようになりました(個人の感想です)。


【ジョン・ラター作品集】
“For the beauty of the earth(大地が美しいから)”では大地と空、全ての花々や生き物、そして親子兄弟、友への愛、それらを生み出した創造主への感謝への気持ちを歌い、
“The very best time of year(最高のひととき)”でクリスマスでの幸せで穏やかなひとときに感謝し平和な日々を祈り、
“The music’s always there with you(その調べはいつも一緒に)”では過ぎ去って行く人生の日々を音楽の調べに例え、人生の終わりの時が来てもその調べが絶えることはなく残り続けることを歌い、
“The Lord is my light and my salvation(主は私の光、私の救い)”どんな困難に直面しても希望と救済を求める心の願い、まさに今、世界で戦火に喘ぐ人々の切なる思いと重なるものを、歌う度に感じています。


【混声合唱とピアノののための『中島みゆき』より】
「地上の星」ご存知「プロジェクトX」のテーマソング。コロナ下でどうすれば活動ができるようになるか、試行錯誤しながら活動を始めて行く我々と重なる。
「糸」合唱は人と人とが織りなすハーモニー。団員一人一人の「糸」が合わさることがまさに幸せ。
「宙船」困難に直面しても行き先を失わない希望の象徴、「宙船」。
「時代」コロナ、戦争が収まってこの「時代」を振り返ることができる、新たな「時代」の到来をひたすら願う。


【混声合唱曲『島よ』】
「島よ
碧い日々に とりまかれているものよ
時の波に 洗われているものよ
翼もなく 鰭もなく
涯てしなさに うづくまるもの
距てられ ただひとり 耐えているもの」…

「ああ だが
どこに行けるというのだろう
遠い昔からそうだったように
島は さだめられたひとりを生きる」…

勿論、伊藤海彦が作詩当時に思い描いていたであろうものとは異なりますが、
このコロナ下で「ステイホーム」を強いられ身動きが取れなかった我々個々人、そしてこの合唱団がおよそ1年半近くも動けなかったことをまざまざと想起させる… 
まさに「私ではないのか」…


この3年間、様々な世の中の変化と向き合いながら、演奏会を開催しようとするところまでようやく漕ぎ着けました。
何としてもこの演奏会を実現して、少しでも多くのお客様にお出で頂き、それぞれのステージを聴いてご自由に感じて頂けましたら幸いです。
まだまだ合唱団のHPからお席のお申し込みができますので、皆様のお越しを心からお待ちしております。

にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする