鵠沼女声合唱団~60周年の有終の美

こんにちは。Bassの幽民です。久々にブログを書かせて頂きます。
5月29日の定演までいよいよ2週間を切りました。
2か月前の大震災の影響で、今回の我々の定演も、会場が変わり、時間も変わり、対応にてんやわんやな4月5月でした…。

5月14日(土)、常任指揮者の田中先生がご指導なさっている鵠沼女声合唱団の創立60周年記念演奏会に団員数名で行って参りました。
当初4月に行う予定でしたが、やはり我々と同様に大震災の影響を受け、会場と日時を変更して行われました。

同じ指揮者を戴くご縁で、昔から当団に懇意にして下さり、我々の演奏会にも毎年藤沢から新宿まで多数足を運んで下さっています。

実は今回の演奏会をもって、鵠沼女声合唱団が解散するとお知らせを頂いていました。

(演奏会のプログラムから)
「…やっと先生の思いに少し近づいて、さらなる向上を願ってきたのですが、諸事情により辞めていく団員が増え、平均年齢も徐々に上がり、新しい仲間もなかなか増えずに、このまま活動していくことが困難になってまいりました。…(中略)…
このままずっと歌っていきたいとの思いは強いのですが、先細る人数と重ねていく年齢に打つ手だてがなく、解散の運びとなりました。
せめて有終の美を飾って、皆様のお心に残る演奏会を開催して60年の歴史に終止符を打ちたいと、解散を決めてから今日まで努力してまいりました。…」

何とも切ないことです。これだけの老舗合唱団でも、終わるのはあっけない限りです。
この決断に至るまでには想像を絶する悩み、苦しみがあったことでしょう…。

代替会場となった藤沢市労働会館は、当初の会場だった藤沢市民会館小ホールより小さい300名ほどの会場で、開場して間もなくほぼ満席となりました。

出演したのは11人の団員の皆さん、指揮者の田中先生、ピアニストの小林順子先生。
開演前に田中先生の呼びかけで、大震災の犠牲となった人達へ黙祷を出演者・来場客全員で捧げました。

曲目は…
Ⅰ「雛の春秋」(高田三郎)という3曲の組曲。やっぱり高田三郎っぽい曲の作りだ…
Ⅱ「イタリアを歌う」と題し、「海に来たれ」(ヴェネツィアのカンツォーネ)、「ニーナ」(ペルゴレージ)などのイタリア歌曲を言語で5曲歌い上げました。
Ⅲ「花のかず」(木下牧子)…岸田衿子の5編の詩を組曲にしたもの。わかりやすい言葉で書かれた詩です。
Ⅳ「60年の歩みの中から…」
・少年(モーツァルトのピアノ協奏曲)
・忘れなぐさ(中田喜直)
・金髪のジェニー(フォスター)
・知床旅情(森繁久彌)
・雨のこもりうた(新実徳英)
・花(滝廉太郎)
・アヴェ・マリア(マスカーニ・歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より)

11人の団員の皆さんは、1曲1曲噛みしめるように、大事に歌っていました。

そして最後の曲を歌い終え、全てのステージが終わりました。

客席からはアンコールを求める万雷の拍手……

そしてアンコール…客席の皆はこれが最後とばかり、水を打ったようにしんとして謹聴していました…

アンコールが終わり、田中先生、そして団長の小林さんからの挨拶。
「震災後の会場変更にもかかわらず、こんなに沢山の皆様に来て頂き有難うございます。この合唱団は今日でおしまいになりますが、私達メンバーはまたどこかの合唱団で歌い続けることと思いますので、これからも見守って下さいますようお願い致します。」と、目を潤ませながら深々と頭を下げ、謝辞を述べられました。

終演後は客席から団員の皆さんに労をねぎらう客達で黒山の人だかりとなり、もみくちゃに…

私もひとしきり落ち着いたところで、かつて渉外活動等でお世話になった団員の方の何人かに、「本当にお疲れ様でした。永らくお世話になりました。」などとお礼を申しました。
皆やり遂げたといったような、平和な笑顔に満ちていました。内心は複雑な思いで満たされているでしょうに…

一つの団体を長く続けていくのは、本当に難しいことだと思います。
我々も決して人ごとではありません。
毎週火曜日の練習を途切れさせないこと。
頑張って一つ一つ歌い続けていくこと。
そして毎年の演奏会をより良いものにし、またお客様に来て頂ける演奏ができるように努めること…

そんなことを改めて思い起こしてくれた、演奏会でした。

ただここへ来て、大震災による電力不足で、普段使っている新宿区内の会場も夏場は隔週で交代に休館日を設けたりとか、会場確保が厳しさを増しています。
でも!!!区内区外の会場を転々としてでも!!!練習だけは途切れないようにせねば!!!
我々団員一人一人が負けない気持ちをもって臨むことが、新宿混声の歴史をつなぐ力になるはず。

その気持ちを、ぜひ5月29日に、我々の歌声で表したいと思っています。

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コメント

  1. マトマト より:

    60年続けてきた合唱団がなくなることは寂しいことです。
    所用で聞きに行くことが出来ませんでしたが、良い演奏だったみたいですね。皆さんにお疲れ様と言いたいです。

    でも、年齢の平均も高くなり、徐々に退団者も増え、新しい人が入ってこないと、いくら長く続いた合唱団でも存続できなくなるんですね。残念なことです。

    おかげさまで、新宿混声は毎年多くの見学者に来ていだき、入団者もコンスタントに増えています。今年も、8名の新しいメンバーがステージに立ちます。嬉しいことです。

    これも、人事担当係長を中心にこまめにホームページの情報を更新したり、ブログで団の雰囲気をお伝えしたり、色々な対策を講じてきた成果だと思います。
    それに加えて、厳しくアットホームな田中先生の人柄や団員の歌に対する真摯な姿勢にひかれて入団して頂いているのだと思います。

    本番まで、11日となりました。

    まだまだ、不安な気持ちもありますが、その不安を吹き飛ばす位の気持ちで、すみだトリフォニーホール大ホールで歌うことを楽しみたいと思います。

  2. はったん より:

    鵠沼女声合唱団、本当にお疲れ様でした。

    私も残念ながら聴きに伺えませんでしたが、60周年とは気の遠くなるような年月ですね!

    新混も今年44周年、団の設立当初から居られる大先輩も数名いらっしゃいます。
    ただただ頭が下がる思いです。
    大先輩方が支えて下さっているからここまで続いているのだと感謝致します。

    田中先生もいつも一生懸命にご指導下さり、時には冗談を仰ったりして団員を笑わせる事も忘れません。

    私の友人が昨年の新混の演奏会を聴きに来て、新混のステージはアットホームね!
    と言っていましたが、やはり田中先生のお人柄だと思います。
    その先生に団員が素直に付いて行く。
    私もその一員として29日の演奏会のステージに上る事を嬉しく思います。

  3. もな より:

    自分も今回鵠沼女声を聞きに行きましたが、解散の演奏会と意気込んでいた矢先の震災、演奏会の開催すら危ぶまれる状況で、精神的にかなりきつい時期もあったのではないかと思われます。それでも開催にこぎつけ、満員の観衆の中で歌えたことは本当によかったと思います。自分の中でも、感激するものがありました。

  4. さんちゃん より:

    私も鵠沼女声合唱団にはお世話になったことがあります。初めて、田中先生にお会いしたのがこの合唱団との共演でした…
    60周年なんてすごいですね~なくなってしまうのはとても寂しいですが、この合唱団で歌ってきたことが、これからにきっと活かされると思います。どこかで、是非歌い続けていって欲しいです。

    新混のみなさんも本番までラストスパート!
    当日は客席から応援しています。

  5. はったん より:

    さんちゃん先生、コメントをありがとうございます。(私はまだ新混1年生なので、こう呼ばせて頂きます。)

    いつも新混の事をお心に掛けていただき私達は本当に幸せです。
    先生にご指導頂いた事を心がけ、素晴らしいハーモニーを奏でられるように頑張ります。
    応援宜しくお願い致します。